
アラベスク:魅惑の渦巻き模様
- アラベスクとはアラベスクは、イスラム美術を代表する装飾模様のひとつです。イスラム教では偶像崇拝が禁じられているため、人物や動物を描かず、幾何学模様や植物模様を複雑に組み合わせた装飾が発展しました。その中でもアラベスクは、流れるような曲線や渦巻き模様が特徴で、見るものを魅了する複雑な美しさを持ちます。アラベスクの起源は古代オリエントに遡るとされています。その後、イスラム文化圏で独自の発展を遂げ、モスクや宮殿、書物などを華やかに彩る装飾として広く用いられるようになりました。アラベスク模様は、一見すると複雑に絡み合っているように見えますが、実際には一定のルールに基づいて描かれています。幾何学的な構成と、植物の蔓や葉などをモチーフにした有機的な曲線が組み合わさり、無限に続くような錯覚を与えることから、「永遠」や「生命の循環」などを象徴するとされています。アラベスクは、イスラム文化圏からヨーロッパにも伝わり、ルネサンス期には建築や絵画、工芸品など幅広い分野に取り入れられました。現代においても、その洗練された美しさは色褪せることなく、世界中で愛され続けています。