宝石の輝きの秘密:エクステンション
色鮮やかな宝石を眺めていると、見る角度や光の当たり具合によって、色の濃淡が浮かび上がるように見えることがあります。まるで、宝石の中に色の濃い部分と薄い部分が混在しているかのように感じられるこの現象。一体なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
実は、この色のムラに見える現象は、宝石のカットや内部の構造、そして光の相互作用が複雑に絡み合って生まれる、美しい輝きを生み出すための重要な要素なのです。
主な原因の一つに、「吸収」と呼ばれる現象が挙げられます。宝石は、光を吸収する性質を持っていますが、その吸収の度合いは、光の波長(色)によって異なります。そのため、特定の波長を強く吸収する宝石は、その色が濃く見え、逆に吸収されにくい波長は、明るく、あるいは他の色として見えるのです。
また、宝石内部の屈折率のばらつきによって、光が一部透過してしまう「窓」と呼ばれる部分が生じることもあります。窓の部分では、光が内部で反射を繰り返すことができず、直接外に出てしまうため、色が薄く、あるいは透明に見えてしまうのです。
さらに、宝石の表面や内部の傷、インクルージョン(内包物)によって、光が乱反射を起こす「物体反射」も、色のムラを生み出す要因となります。物体反射は、光をあらゆる方向に散乱させるため、特定の角度から見ると、色が薄く、あるいは暗く見える部分が生じるのです。
このように、色のムラに見える現象は、宝石の個性であり、その美しさをより一層引き立てる要素と言えるでしょう。