
華麗なる装飾:フェストゥーンの美
花や葉を糸でつないだ、垂れ下がる飾りのことを「フェストゥーン」と呼びます。この言葉は、もともとは建物を美しく彩るための装飾に使われていた建築用語でした。古代ローマ時代には、神殿や凱旋門などにこのフェストゥーンがふんだんに飾られ、豊穣や勝利の象徴とされていました。たくさんの花や葉がつないだ糸は、豊かに実る作物や繁栄を表していたのかもしれません。
中世ヨーロッパになると、教会や城などにもフェストゥーンが使われるようになります。荘厳な教会や格式高い城に、花や葉の飾りは華やかさを添え、人々の心を和ませていたことでしょう。また、お祭りや儀式などの特別な日には、空間を華やかに彩り、祝祭ムードを高めるために欠かせないものとして、フェストゥーンは広く用いられました。人々は、花や葉が持つ自然の美しさや生命力にあふれ、豊かさや幸福を願ったのかもしれません。