日本の銘石「サヌカイト」
古代の人々の生活を支えていた石、サヌカイト。その名の通り、香川県を中心とした限られた地域でしか採掘できない、漆黒で硬質な石です。この石最大の特徴は、非常に硬く鋭く割れるという点にあります。この性質を利用して、古代の人々はサヌカイトを石器の材料として活用していました。 槍の先端やナイフ、矢じり、そして石包丁など、サヌカイトは様々な道具へと姿を変え、人々の生活を支えていました。 金属器がまだ存在しなかった時代、サヌカイトで作られた道具は、厳しい自然と戦い、生活を維持していくために欠かせないものでした。サヌカイトの産地から遠く離れた地域の遺跡からも、サヌカイト製の石器が発見されています。このことから、当時の人々はサヌカイトを求めて、他の地域と活発に交易を行っていたことが推測されます。サヌカイトは、古代の人々の技術と知恵、そして交流の証として、現代にその姿を伝えています。