サンダワナ

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サンダワナ産エメラルドの魅力

鮮やかな緑色が目を引くエメラルドは、多くの人がその産地として南米のコロンビアを思い浮かべるでしょう。しかし、地球には、コロンビア以外にもこの美しい宝石を生み出す地が存在します。アフリカ大陸の南部に位置するジンバブエも、その一つです。ジンバブエの中でも、特にサンダワナ地区は、世界に名だたるエメラルドの産地として知られています。 サンダワナ地区という地名は、かつて地球上に存在したとされる超大陸「ゴンドワナ」に由来します。遥か太古の時代、この地には広大な大陸が広がっていました。そして、長い年月を経て大陸が分裂し、現在の形になったと言われています。サンダワナ地区の地底深くには、まさにその太古の時代から、ひっそりと美しい緑の輝きを秘めたエメラルドが眠っているのです。 ジンバブエ産のエメラルドは、コロンビア産のものとはまた違った魅力を持っています。コロンビア産のエメラルドは、青みを帯びた緑色が特徴ですが、ジンバブエ産のエメラルドは、より深く、温かみのある緑色をしています。これは、エメラルドに含まれるクロムや鉄などの成分の違いによるものです。ジンバブエの雄大な自然の中で育まれたエメラルドは、落ち着いた輝きを放ち、見る人を魅了します。
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エメラルドの個性、トレモライト

エメラルドといえば、多くの人が思い浮かべるのは、その名の通り鮮やかな緑色でしょう。緑色の宝石は数あれど、エメラルドだけが持つ独特の深く吸い込まれるような緑色は、見る人を魅了してやみません。古くから、この宝石の色の美しさに魅せられた人々は数知れず、王族や貴族たちはこぞってエメラルドを身につけました。 王冠やネックレス、指輪などに惜しみなくエメラルドが使われたのは、単に美しいものが好きだったから、というだけではありません。エメラルドの緑色は権威や永遠の象徴と考えられており、身につけることで、その力を借りようとしたのです。 もちろん、現代でもエメラルドの価値は変わりません。特に、透明度が高く、深い緑色をしたエメラルドは非常に希少価値が高く、世界中のコレクターが喉から手が出るほど欲しがる代物となっています。 しかし、エメラルドの魅力は、誰もが認める色の美しさだけにとどまりません。 自然の中で時間をかけて結晶化していく過程で、他の物質が取り込まれることがあります。これは内包物と呼ばれ、一見すると宝石の価値を下げてしまうようにも思えます。しかし、内包物は、そのエメラルドが生まれた場所や過程を物語る、いわば「個性」のようなものです。 世界に二つとない、自分だけのエメラルド。そう考えると、内包物もまた、エメラルドの魅力の一つと言えるのではないでしょうか。