
錆びない鋼、ステンレス鋼
ステンレス鋼は、私たちの身の回りで広く使われている金属材料です。 その名の通り、錆びにくく、美しい輝きを保つことから、キッチン用品や自動車部品、建築材料など、様々な用途に利用されています。 ステンレス鋼の主成分は鉄ですが、錆びにくい性質を持つ鍵は、クロムという金属が添加されていることです。 クロムは鉄と結びつきやすく、ステンレス鋼の表面に薄い酸化皮膜(不動態皮膜)を作り出します。この皮膜は非常に緻密で、酸素や水分が鉄に触れるのを防ぐため、錆の発生を抑える役割を果たします。さらに、ニッケルやモリブデンなどの金属を添加することで、ステンレス鋼の耐食性や強度、加工性を高めることができます。 ニッケルはクロムと同様に不動態皮膜の形成を促進し、耐食性を向上させます。モリブデンは、特に塩化物イオンによる孔食(小さな穴状の腐食)を防ぐ効果があります。このように、ステンレス鋼は鉄をベースに、様々な金属を組み合わせることで、優れた特性を持つ材料として誕生しました。 その錆びにくさと美しい輝きは、私たちの生活をより快適で豊かなものにしています。