フィリグリー

記事数:(2)

技法

繊細な輝き:金細工の技法

「フィリグリー」という言葉をご存知でしょうか。 これは、髪の毛のように細い金属線を、まるで糸を扱うようにして、複雑な文様を作り上げる、伝統的な金細工の技法のことを指します。 金や銀の糸は、職人の熟練した指先によって、思い通りの形に曲げられ、絡み合わされ、美しい装飾模様へと姿を変えていきます。 繊細な透かし模様や、立体的なバラの飾り、渦巻き模様や唐草模様など、その表現は実に様々です。 フィリグリーで作られた宝飾品は、金属の持つ華やかさに加えて、糸の繊細さが相まって、見るものを魅了してやみません。 シンプルな形であっても、そこに込められた職人の技術と情熱は、時を超えて輝き続けるでしょう。
デザイン

エドワーディアンジュエリー:繊細なレース模様とプラチナの輝き

19世紀の終わりから20世紀の初頭にかけて、ヴィクトリア女王の治世が終わり、イギリスではエドワード7世が王位に就きました。この「エドワーディアン時代」と呼ばれる時代は、第一次世界大戦が始まるまでのわずか15年ほどの短い期間でしたが、ヨーロッパ全体が経済的に大きく発展し、人々の価値観も大きく変化した時代でした。この時代の変化は、人々が身に着けるジュエリーにもはっきりと現れました。 エドワーディアン時代以前のヴィクトリア朝時代は、女王の趣味を反映した、自然をモチーフにしたロマンティックなデザインが主流でした。一方、エドワーディアン時代になると、産業革命の影響で大量生産が可能になり、より繊細で華やかなデザインが好まれるようになりました。プラチナやダイヤモンドといった高価な素材がふんだんに使われ、光り輝く宝石が人々の心を魅了しました。 エドワーディアンジュエリーの特徴としては、幾何学模様やレース模様など、直線と曲線を組み合わせた優美なデザインが挙げられます。また、当時の流行であった東洋のエキゾチックな文化の影響を受け、翡翠や珊瑚といった東洋的な素材が使われることもありました。このエドワーディアンジュエリーに見られる幾何学的なデザインは、後のアールデコ様式の先駆けとも言われています。 エドワーディアンジュエリーは、ヴィクトリア朝時代の伝統を受け継ぎながらも、新しい時代の息吹を感じさせる、繊細で華やかな美しさが魅力です。