ダイヤモンドの故郷、キンバーライト
地球の奥深く、想像を絶するほどの高温高圧な環境下で、輝く宝石、ダイヤモンドは誕生します。ダイヤモンドの生成には、極限状態が必要不可欠であり、それは地球の深部にのみ存在します。そして、この貴重なダイヤモンドを地表へと運ぶ役割を担うのが、「キンバーライト」と呼ばれる特殊な岩石です。キンバーライトは、地球の深部で形成される火成岩の一種です。その名の由来は、1869年に南アフリカのキンバリー地方でダイヤモンドを含む岩石として初めて発見されたことに由来します。ダイヤモンドの生成には、高温高圧の環境に加え、炭素を豊富に含む特殊なマグマの存在が欠かせません。キンバーライトは、まさにこの条件を満たすマグマから冷却・固結してできた岩石であり、「ダイヤモンドの母なる岩石」と称される所以です。キンバーライトは、その内部にダイヤモンドの結晶を含んでいることが多く、現在採掘されているダイヤモンドの多くは、このキンバーライト鉱床から産出されています。ダイヤモンドはキンバーライトの母岩中に散在しており、その含有量は1トンあたりわずか数カラットという極微量です。この希少性こそが、ダイヤモンドの価値を高めている一因と言えるでしょう。キンバーライトの発見は、ダイヤモンド鉱床の探査において非常に重要な意味を持ちます。キンバーライトの存在は、その周辺地域にダイヤモンドが存在する可能性を示唆しており、ダイヤモンド探査の重要な指標となっています。地球の深部から貴重なダイヤモンドを運ぶ「キンバーライト」。それはまさに、地球が私たちにくれた、輝きと希望を秘めた贈り物と言えるでしょう。