数千年の時を経て生まれる神秘、ボグオーク
アイルランドの広大な湿原には、長い年月をかけて育まれた神秘的な宝が眠っています。それは、数千年の時を超えてきた「ボグオーク」。かつてこの地を覆っていたオークの森の名残であるオークの木々が、湿原に堆積した泥炭の中に埋もれ、奇跡的に朽ちることなく現代にその姿を現したものです。
ボグオークが腐敗を免れたのは、泥炭に含まれるタンニンの働きによるものです。タンニンは植物に含まれる渋み成分ですが、防腐作用にも優れており、長い年月をかけてオークの木材に浸透することで、その組織を堅牢なものへと変化させました。こうして生まれたボグオークは、まるで黒檀のように深く美しい黒色を帯び、独特の光沢を放ちます。
その歴史は古く、石器時代の人々が道具としてボグオークを使っていた形跡も発見されています。また、近年ではその希少性と美しさから、ジュエリーの素材としても注目を集めています。長い年月を経て生まれた自然の造形美は、多くの人を魅了してやみません。