
宝石の真偽を見極める「鑑別」
きらきらと光を放つ美しい宝石。その美しさに心を奪われ、身につけると気分が高揚する人も多いのではないでしょうか。しかし、宝石の世界は深く、その輝きの裏には、人工的な加工や偽物が存在するのも事実です。そこで大切になるのが「鑑別」です。「鑑別」とは、宝石の種類や本物かどうか、加工の有無などを科学的に調べ、その石が本来持っている姿を明らかにする作業です。宝石の専門家である鑑別士は、豊富な知識と高度な技術、そして特殊な機器を使って、一つ一つの宝石と真剣に向き合います。肉眼では見えない宝石内部の秘密を解き明かし、その価値を評価することで、買う人や持つ人に安心と信頼を与える大切な役割を担っているのです。
たとえば、同じように赤く輝くルビーの中には、加熱処理によって本来の色を引き出したものもあれば、全く別の種類の赤い石がルビーとして売られている場合もあります。鑑別士は、顕微鏡を使って内部構造を観察したり、分光器を使って光を分析したりすることで、人工的な処理の痕跡や、他の鉱物との違いを見抜きます。また、ダイヤモンドのように、天然と人工の違いを見分けるのも鑑別士の重要な仕事です。近年技術が進歩したことで、人工ダイヤモンドは天然のものと見分けがつかないほど精巧に作られています。しかし、わずかな内部構造や光の反応の違いから、鑑別士は正確に見抜くことができるのです。このように、鑑別は宝石の品質と価値を保証するだけでなく、私たちが安心して美しい輝きを楽しむための、なくてはならないプロセスと言えるでしょう。