西洋史

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その他

18世紀の携帯ケース、エチュイの魅力

- エチュイとは17世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパの貴婦人たちの間で流行したのが「エチュイ」と呼ばれる小さな筒型の携帯ケースです。フランス語で「ケース」を意味するこの言葉の通り、当時の女性たちにとって欠かせない日用品を収納するために用いられました。当時のヨーロッパでは、教養豊かな女性であることが求められ、美しい刺繍や書を嗜むことはステータスとされていました。そのため、繊細な刺繍を施すための針や色とりどりの糸、美しい文字をしたためるためのペンやインク、上質な紙で作られたメモ帳など、様々な道具を持ち歩く必要があったのです。しかし、これらの道具を収納するのに、大きくてかさばる袋はあまりにも無粋です。そこで考案されたのが、優雅で洗練されたデザインのエチュイでした。素材には金や銀、象牙などが用いられ、宝石や繊細な装飾が施されたものも多く、まるで貴婦人の美意識を体現するかのようでした。小さなエチュイの中には、実用的な道具だけでなく、身だしなみを整えるための小さな鏡や香水瓶などが詰め込まれていることもありました。日々の暮らしの中で、いつでも美しくありたいと願う女性たちの想いが込められていたのかもしれません。現代では、エチュイはアンティーク品として、当時の文化や美意識を伝える貴重な存在となっています。
パーツ

シャトレーヌ:女性の腰元を彩る実用的な装飾品

- シャトレーヌとはシャトレーヌとは、女性の腰回りを彩る、装飾的なベルトフックまたはクラスプのことです。まるで小さなベルトのように腰に巻き付け、そこから鍵やはさみなどの日用品を吊り下げて持ち運ぶための道具として使われていました。その歴史は古く、7世紀から8世紀にかけて、イギリスの女性たちの間で使用されていた記録が残っています。 当時はまだポケットというものが一般的ではなかったため、必要なものを身につけて持ち歩くためにシャトレーヌが重宝されていました。そして、その実用性に加えて、美しい装飾が施されていることも多く、女性のアクセサリーとして、数世紀にわたって愛用され続けました。シャトレーヌには、鍵、はさみ、指ぬき、時計、印鑑など、様々な日用品が吊り下げられました。 これらのアイテムは、当時の女性にとって日常生活に欠かせないものであり、シャトレーヌは、単なる装飾品ではなく、当時の女性の知恵と工夫が詰まった、実用的なアイテムでもあったと言えるでしょう。現代においては、シャトレーヌはアンティークとして、あるいはその歴史的な価値や美しいデザインから、コレクターアイテムとして人気があります。 また、現代のファッションにも取り入れられており、ヴィンテージスタイルや、個性的なスタイルを楽しむアイテムとして注目されています。