魅惑の色変わり宝石:アレキサンドライト
- 皇帝に捧げられた誕生石
アレキサンドライトは、その名の通り、ロシア皇帝アレクサンドル2世に捧げられた宝石として知られています。1830年、皇帝の12歳の誕生日を祝う式典の日に、ロシアのウラル山脈で発見されました。発見された当初は、その深い緑色からエメラルドだと考えられていましたが、太陽光の下とは異なる、ろうそくの光の下で見ると鮮やかな赤色に変化することに人々は気づき、新たな宝石であることが判明したのです。
この神秘的な色の変化は、ロシア帝国の国旗の色である緑と赤を表していると考えられ、人々はこれを吉兆と捉えました。皇帝アレクサンドル2世はこの美しい宝石を大変気に入り、自身の誕生石として、そして結婚55周年を祝う宝石として定めたのです。
アレキサンドライトは、エメラルドにも匹敵する深い緑色の輝きと、ろうそくの光の下で見せる燃えるような赤色の輝きという、二つの顔を持つ宝石です。その神秘的な魅力は、まさに皇帝に捧げられた宝石にふさわしく、古くから多くの人々を魅了してきました。