フェロニエール:額を飾る中世の輝き
額を飾る宝石を携えた優美な帯、フェロニエール。その歴史は古く、15世紀のイタリアにまで遡ります。当時、多くの女性たちを魅了したこの装飾は、額の中央で輝く宝石が、その時代の美意識を象徴するかのようでした。しかし、時が流れ、フェロニエールは人々の記憶から薄れていきます。
再び脚光を浴びるのは19世紀のこと。中世への憧憬が高まる中、フェロニエールは「額の飾り」を意味するフランス語で呼ばれるようになり、夜会や公式の場など、華やかな舞台でその輝きを放ちました。特に1820年から1840年にかけては、流行の最先端をいく女性たちの間で、フェロニエールは欠かせないアイテムとなっていきます。ルネサンス様式や中世風のファッションが流行したこの時代、フェロニエールは単なる装飾品ではなく、歴史へのオマージュであり、個性を表現する手段として愛されたのです。