グリザイユ:単色で表現する奥深い芸術
グリザイユとは、色の濃淡だけで絵や模様を描く技法のことです。 といっても、白や黒だけを使うわけではなく、灰色を基調とした色を用いるのが特徴です。 言葉の由来はフランス語で「灰色」を意味する言葉から来ており、その名の通り、落ち着いた色合いが魅力です。
グリザイユは、14世紀のヨーロッパで宗教画の下絵として使われ始めました。 当時はフレスコ画という、壁に直接描く技法が主流でした。 フレスコ画は下絵の上に直接彩色していくため、色の濃淡を正確に表現することが重要でした。 そこで、明暗を分かりやすく表現できるグリザイユが下絵として採用されたのです。
その後、グリザイユは絵画の技法としても確立され、立体感や陰影を表現するために使われるようになりました。 また、彫刻やステンドグラス、エナメル、宝飾品など、様々な分野にも応用されています。 グリザイユは、シンプルながらも奥深い表現ができる技法として、現在も多くの芸術家たちに愛されています。