鋳造

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技法

砂型鋳造:古代から続く金属加工の技

- 砂型鋳造とは砂型鋳造は、大昔から伝わる金属加工技術のひとつで、金属を熱で溶かして型に流し込み、冷まして固めることで目的の形の金属製品を作り出す鋳造法の一種です。その名の通り、砂を型に用いることが大きな特徴です。まず、作りたい形の製品の模型を木や金属で作り、これを湿らせた砂がぎっしり詰まった箱に押し付けます。砂は押し固められると型崩れしにくくなる性質があるため、模型の形を正確に写し取ることができます。模型を砂から取り出すと、砂には模型の形をした空洞ができます。これが鋳型となります。次に、この鋳型に溶かした金属を流し込みます。金属は砂型全体に流れ込み、空洞を満たして冷えて固まります。砂型全体が冷えて固まったら、砂型を壊して中から金属を取り出します。金属は砂型の空洞の形に固まっているため、目的の形の製品が出来上がります。最後に、製品の表面を滑らかにしたり、不要な部分を削ったりして仕上げを行います。砂型鋳造は、複雑な形状の製品でも比較的容易に作ることができる、コストが低いといった利点があるため、自動車部品や機械部品など、様々な分野で広く利用されています。
技法

ジュエリーの「キャスト枠」って?

きらびやかな宝石をより一層輝かせ、身につける人を美しく飾るジュエリー。指輪やネックレス、ピアスなど、様々な種類がありますが、これらの美しい装飾品には、宝石を支え、引き立てるために欠かせない存在があります。それが「枠」です。 宝石を固定し、デザインの一部となる枠は、ジュエリーの印象を大きく左右する重要な要素です。例えば、同じダイヤモンドでも、華奢で繊細なデザインの枠に留めれば可憐な印象に、太くしっかりとした枠に留めれば重厚で高級感のある印象になります。 枠の素材には、主にプラチナや金などの貴金属が用いられます。これらの素材は、美しい輝きをもち、変色しにくく、耐久性に優れているため、長く愛用することができます。また、加工のしやすさという点も、ジュエリーの枠に適した素材と言えるでしょう。 枠は、ただ宝石を固定するだけでなく、光を取り込んで輝きを最大限に引き出す役割も担っています。ダイヤモンドのようにカットを施された宝石の場合、裏側から光を取り込むことで、より強く美しく輝きます。そのため、石座と呼ばれる宝石を支える土台部分の高さや形、爪の形や本数などを工夫することで、宝石が最も美しく輝くように計算されています。 ジュエリーの「枠」は、まるで舞台の上で輝く宝石を引き立てる名脇役と言えるでしょう。そして、その繊細な技術とデザインは、ジュエリーを身につける人の魅力を最大限に引き出すために、重要な役割を果たしているのです。
金属

ポットメタル:歴史を彩った合金

- ポットメタルとは? ポットメタルは、金や銀、プラチナといった高価な貴金属を含まない合金を指します。19世紀後半から20世紀前半にかけて、大量生産された日用品によく使われていました。 では、なぜポットメタルがそんなに流行したのでしょうか? その理由は、ポットメタルの低い融点にあります。ポットメタルは、他の金属に比べて低い温度で溶けて液体になります。そのため、製造に必要な燃料が少なく、短時間で加工できるという利点がありました。 当時の製造業にとって、この特徴は画期的でした。大量の製品を、低コストかつ短時間で作り出すことができたのです。 そして、プラスチックが登場するまでの間、ポットメタルは様々な日用品に使われました。例えば、おもちゃやアクセサリー、食器、家具の装飾など、私たちの身の回りにはポットメタル製品があふれていました。 しかし、ポットメタルは貴金属を含まないため、耐久性に欠けるという側面もありました。衝撃に弱く、壊れやすいという欠点がありました。 現在では、製造技術の進歩により、より丈夫で安価な素材が開発されました。そのため、ポットメタルが使われることは少なくなりました。 しかし、アンティークショップなどで、レトロな魅力を放つポットメタル製品を見かけることがあります。それは、大量生産の時代に、人々の生活を支えた、ポットメタルの歴史を物語っていると言えるでしょう。
技法

失われたワックス、永遠の形

- 古代からの技法 「失われた蝋」を意味するフランス語の言葉、シール・ペルデュ。 この言葉が指し示すのは、幾千年もの時を超えて受け継がれてきた鋳造技法のことです。 その歴史は古く、古代エジプトやメソポタミア文明ですでにその技術が用いられていたという記録が残っています。 現代においても、この古代の技法は、宝飾品や彫刻、工業製品など、様々な分野で幅広く活用されています。 シール・ペルデュが長きに渡って愛され続ける理由は、複雑な形状や繊細な模様を、高い精度で再現できる点にあります。 まず原型を蝋で作り、その周りを鋳型材で覆って型を取ります。 その後、型を加熱して中の蝋を溶かし出して空洞を作り、そこに溶かした金属を流し込んで固めます。 こうして、蝋で作った原型と寸分違わぬ金属製品が生み出されるのです。 このように、シール・ペルデュは、古代の叡智と現代の技術が融合した、他に類を見ない鋳造技法と言えるでしょう。 時代を超えて受け継がれてきたその価値は、これからも色褪せることなく、様々な分野で人々の創造力を支え続けるでしょう。
技法

鋳造:ジュエリーに形を与える魔法

- 鋳造とは何か金属を高温で熱すると、やがて溶けて液体のようになります。この溶けた金属を、あらかじめ用意しておいた型に流し込み、冷やし固めることで目的の形を作り出すことができます。これが鋳造と呼ばれる技法です。まるで熱いお湯が氷のように固まるように、溶けた金属も冷えて固まるときに型の形に沿って硬くなっていくのです。ジュエリーの世界では、指輪やネックレス、ブレスレットなど、様々な装飾品がこの鋳造という方法で作られています。特に、金や銀、プラチナといった貴金属は、美しく輝き、変色しにくいことから、ジュエリーの素材として古くから愛されてきました。これらの貴金属を溶かし、複雑なデザインの型に流し込むことで、繊細で美しいジュエリーが生み出されるのです。鋳造は、同じ形のものをたくさん作るのに適した方法です。一度型を作ってしまえば、同じ型のジュエリーをいくつも複製することができます。そのため、大量生産にも向いている技術と言えるでしょう。また、近年では、コンピューター制御によってより精密な型を作ることができるようになり、より複雑で精巧なデザインのジュエリーも作られるようになってきました。このように、鋳造は、古代から現代に至るまで、ジュエリー製作に欠かせない技術として、その発展に大きく貢献してきました。そして、これからも、さらに進化した技術によって、私たちの心を豊かにする美しいジュエリーが生み出されていくことでしょう。
技法

鋳造の原点!ロー型ってどんな型?

- 宝飾品を大量生産する技術ネックレスや指輪、イヤリングなど、私たちを魅了する宝飾品の数々。これらの多くは、実は同じデザインのものがいくつも作られています。一つ一つ手作りで…と想像しがちですが、現代では、全く同じデザインの宝飾品を大量に生み出す、精巧な技術が使われているのです。その秘密は「型取り」にあります。まるでお菓子作りでお型を使うように、宝飾品の世界でも、元となるデザインから型を作ることで、同じものをいくつも複製できるようになります。そして、この型取りにおいて重要な役割を担うのが「ロー型」と呼ばれるものです。ロー型は、元となる原型から作る、特別なワックスでできた型です。このワックスは熱を加えると溶けて形を変えることができ、冷やすと固まる性質を持っています。そのため、原型を精密に写し取った型を作ることができます。ロー型に金属を流し込んで固めることで、原型と全く同じ形の宝飾品が完成します。この方法は大昔から使われてきましたが、近年はさらに技術が進化し、より複雑で繊細なデザインの宝飾品でも、高精度に大量生産することが可能になりました。このように、宝飾品の大量生産には、ロー型を使った精巧な技術が欠かせません。普段何気なく身に着けている宝飾品も、実はこのような技術の結晶によって生み出されているのです。
技法

古代から伝わるロストワックス鋳造法の魅力

- ロストワックス鋳造法とはロストワックス鋳造法は、その名が示す通り、蝋(ワックス)を用いて鋳造する方法です。紀元前4000年頃の古代エジプト文明で既に使われていたという記録が残っており、人類の歴史と共に歩んできた伝統的な鋳造技術と言えるでしょう。 まず、精巧な造形が可能な蝋を用いて、作りたい形の原型を製作します。この原型を「ワックスモデル」と呼びます。次に、ワックスモデルを鋳物砂や石膏で覆って型を取ります。この型を「鋳型」と呼びます。鋳型が完成したら、これを高温で加熱します。すると、熱によってワックスモデルは溶けて流れ出し、原型があった場所に空洞ができます。この空洞こそが、これから金属を流し込むための空間となるのです。 最後に、空洞になった鋳型に溶かした金属を流し込みます。金属が冷えて固まったら、鋳型を壊して取り出すことで、金属製の作品が完成します。 ロストワックス鋳造法は、複雑な形状や精巧なデザインを再現できることが最大のメリットです。そのため、宝飾品や美術工芸品、工業製品など、様々な分野で利用されています。