石を包み込む神秘的な「ジプシーセッティング」
宝石を金属で包み込むようにして留める「ジプシーセッティング」は、独特の美しさを持つ技法です。この技法では、宝石の頂上部分だけが金属の表面からわずかに覗き、まるで宝石が金属に溶け込んでいるかのような、一体感のある仕上がりになります。宝石と金属が織りなす一体感は、見る人に静かで深みのある印象を与えます。
ジプシーセッティングは、「ハンマーセッティング」や「ショットセッティング」とも呼ばれています。これは、金属をハンマーで叩いたり、小さな金属の球で打ち付けたりして、宝石の周りを締め付けるように留めることからきています。
一見すると、宝石を縁で囲む「ベゼルセッティング」に似ているように見えるかもしれません。しかし、ジプシーセッティングでは、宝石が完全に金属に沈み込み、縁がないため、よりすっきりとした印象を与えます。また、宝石の表面に光が直接当たるため、その輝きを最大限に引き出すことができます。
シンプルながらも洗練された美しさが魅力のジプシーセッティングは、指輪やペンダントなど、様々なジュエリーに用いられています。特に、ダイヤモンドやサファイアなど、硬度が高く輝きの強い宝石に適しており、その美しさを一層引き立てます。