
宝石鑑定士が愛する光 ~北光線の魅力~
宝石の真価を見極める上で、光は欠かせない存在です。宝石鑑定では、正確な色を判断するために、常に安定した光が必要とされます。 そこで、理想的な光として選ばれるのが、北向きの窓から差し込む「北光線」です。
太陽光は時間や天候によって刻々と変化し、その色や強さも安定しません。朝は赤みを帯び、昼は白く、夕方は黄色みを帯びるなど、同じ宝石でも光の当たり方一つで全く違う色に見えてしまうことがあります。一方、北光線は太陽の直射日光を避けて、北の空から柔らかく差し込む光です。そのため、時間や天候に左右されることなく、常に安定した光を供給してくれます。この安定した光の下で宝石を鑑定することで、宝石本来の色をありのままに捉え、正確な評価を行うことができるのです。
宝石鑑定士にとって、北光線はまさに「神の光」とも呼ばれる特別な光です。人工的な照明も進化していますが、自然光である北光線は、微妙な色合いや輝きを最大限に引き出す、唯一無二の存在と言えるでしょう。